焼き畑農法で作る藤沢カブ

鶴岡市役所での話の中で、最も印象的だったのが、焼き畑農法で作られる"藤沢カブ"でした。
だから藤沢カブについて追いかけてみました。
焼き畑農法というと、"熱帯で行われる最も原始的な農法"と教科書に書いてあったような記憶があります。現代では環境破壊というイメージが先行してしまっていると思います。
それで焼き畑農法という言葉を聞いたときに、日本でもやってたのか!という驚きと、山火事は大丈夫なの?とか、二酸化炭素は大丈夫?という疑問が押し寄せてきました。
ということで、早速、庄内の在来作物に詳しい山形大学農学部准教授の江頭宏昌先生に取材を申し込みました。
上のような疑問を失礼を承知でそのまま投げかけると、
「では焼き畑農業を後世に残す価値があるのかについて、わたしの考えをお話しましょう」
と説明してくださいました。
エネルギー依存型でない肥料ができる
現代の農業は石油がないとやっていけない状況になっています。トラクターなどの機械も石油、肥料(窒素・リン酸・カリ)も石油から作っている。
たとえば窒素肥料。
遠い昔、理科の時間に「空気中の80%は窒素」だと習った記憶があると思います。窒素はこんなにいっぱいあるのに、植物に与えるためには、窒素が水に溶ける状態、アンモニアや硝酸ににしないといけません。その合成過程では、化石燃料が使われています。
ところが、焼き畑で畑に火を入れると、腐葉土など有機物が燃えるので、その熱で地面の下の有機物が分解されてアンモニア態の窒素とリン酸ができます。
さらに、灰にはカリウム、カルシウムが含まれています。
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肥 |
窒 素
──┐ カ リ ────── 灰に含まれる |
こうして、焼き畑農業では肥料の三大要素を手に入れることができるのです。
そしてこれらの肥料は、1回分カブを育てる程度にしか発生しませんので、河川に流出することもなく、環境負荷も低いものです。
無農薬栽培ができる
地表面から1~2cmはもっとも病原菌や害虫が多く存在します。これを火を通すことで殺してしまうので、農薬が必要ありません。さらに、雑草も焼けるので、1年間は除草しなくてもいい状態になります。
おいしいという説も
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これは科学的には立証されてないのですが、焼き畑で作った農作物は、普通の畑で作ったものに比べて、なぜかおいしいと農家のみなさんはおっしゃっています。
その特長は
- 歯ざわりがいい
- 色が濃くなる...赤カブなら鮮やかな赤になる
- 次の作物にも効果は及ぶ...赤カブのあと小豆を植えると、色つや、香りがよく、虫が付きにくくなる
農業作業の知恵が詰まっている
焼き畑農法には、農作業の知恵が詰まっています。
- 灰が熱いうちに種をまくと一斉にに発芽する
休眠している種が熱で一斉に目覚めるために、発芽も一斉に起こります。
- 野に放った火をコントロールする技術
野に火を放ち、指定した範囲だけを燃やし、最後に消す。これには相当な技術が必要です。
Co2排出も問題なし
焼き畑でたしかにCo2は排出されます。しかし、その分植林したり、天然林ができたりしたら、70年スパンで見た場合、±ゼロになります。
地上で蓄えられた炭素が排出されても、それはまた吸収され循環していきます。地下で何億年もかけて貯めた炭素を地上に持ってきて、50年ぐらいで一気に燃やしている石油の方がよっぽど問題は大きいのです。
いい焼き畑と悪い焼き畑がある
と、ここまで説明してくださった江頭先生。さらに
「いま地球の熱帯地方で行われている焼き畑には環境を破壊しているものも多いのは事実です」
と問題点を指摘します。
人口が爆発的に増えている地域ではスラム街ができ、そこを追われた人たちが、食べるために知識のないまま焼き畑を行っています。そういう焼き畑は持続的にやるということは考えていませんから、火も消さないまま放置し、貴重な熱帯雨林が燃え続けています。
そのため多くの国では焼き畑を禁止にしています。
その地域には、昔から焼き畑を行っている人たちで、ちゃんとした知識を持って持続可能な焼き畑農法を行っている人たちもいるのですが、無知識で行っている人との区別が難しいので、政府が焼き畑をやめさせることが多いのです。
現在、日本で焼き畑を行っている場合、それはきちんとした知識に基づくものです。だから、上記のようなメリットがあり、
「非難される筋合いはまったくないんですよ(笑)」
と江頭先生は締めくくられました。
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なんだか焼き畑に対する認識がすっかり変わりました!そして、焼き畑で作るとおいしいものができるのなら、もっと広めてほしい農法だと思いました。

