長崎・小値賀で、アジ釣りとゴーヤの佃煮づくり
朝起きるとパタパタ...。ヨウコちゃんこと、増元洋子さんが台所でウチワをあおいでいました。
「昨日の残ったご飯にね、お魚混ぜて、バラ寿司にしよっか」。
すぐ下のお宅に持っていき、替わりにポテトサラダをもらうのだとか。春はヨモギを摘みながら「あ、団子つくろう。さぁだれかに持っていこう」と考えるそうです。
土と海と食卓と人。次から次へ駆け抜けながらつながっていく、大縄跳びをしているみたい。共存とかエコとかお題目なんて唱えなくてもさりげなく、分かち合う。とっても心地いいなと思います。
テルあんちゃんこと、輝利さんにはアジ釣りにも連れて行ってもらいました。オキアミを人差し指大のカゴに詰めて、釣り糸を堤防から垂らします。ククッ。たなごころに、強いヒキを感じました。
あ、命が震えている。
せっかくの命、余さず食べねば申し訳ない。自然に思いました。
2時間ほどで保冷箱にアジ50匹がいっぱいになりました。イカも交じっています。たまたまそばで釣りをしていた「公民館のイクチャン」がくれました。テルあんちゃんはホッとしていました。「イカ、食べさせたかったっさぁ!」。
夕食はもちろんお刺身です。テルあんちゃんがさばいてくれたのをいただきました。お箸でつまみあげます。キラキラ透き通って、まぶしくて。ありがとうアジ君。いとおしくなりました。
飲みながら食べながら、ヨウコちゃんは鍋を気にしていました。ゴーヤの佃煮です。畑の味を私たちに持たせるためでした。鍋を見守りながら作り方を習いました。
ゴーヤ10本(1・5キロ)はタネとわたを除いて薄切りに。イリコかジャコ120gと黒砂糖300g、酢180㏄、しょうゆ200㏄を煮立たせます。
「あったらアオサを入れてね。量は適当たい」。くつくつと汁気がなくなるまで3時間ほど炊けばOKです。タッパーで4人分を小分けしながら、別れが近いのを感じました。国内旅行としては長い4泊、長崎・五島の旅も終わるんだな...。
佐世保行きの船で翌朝、私たち4人は出発しました。「またおいでまっせよー」。波止場で船を待つ間、ヨウコちゃんが言いました。あーあ、もう帰るなんて。
ぐっときました。思わず抱きつきます。「また、絶対」。約束しました。まだ野崎島にも行っていないし、絶品という落花生だって食べていないし...。もちろんまた、ヨウコちゃんとテルあんちゃんに会いたいから。来る理由を並べます。「午前4時に着いたって迎えにいくよー」。博多発のフェリーは午前4時50分着なので、こう言ってくれました。
船がじわじわ岸を離れます。
ヨウコちゃんはいつまでも手を振ってくれていました。私たちも身を乗り出して両手でこたえます。お互いがコメ粒ぐらいになるまで、手と手の会話は続きました。
船って、いいな。別れを惜しむスピードなんだな。
バタバタとあっというまに離れてしまう駅や空港では味わえない、じんわりした「さようなら」。島で過ごした時間のように、やさしくしみじみした味わいでした。
京都に戻って冷凍しておいたゴーヤの佃煮を先日、食べました。こっくりした甘さとゴーヤのほろ苦さが、タスキ掛け。箸休めにちょうどいい感じです。夢のようにあたたかい島・小値賀を思い出してまた、キュンとなりました。




