地域生産地域消費の略。つまり、「その土地でとれたものを、その土地で消費すること」を言います。
近年、栄養バランスの偏った食生活や生活習慣病の増加、食料自給率の低下、虚偽表示等の問題など食をめぐる多くの問題がおこっており、消費者の食の安全・安心に対するへのニーズや健康志向が高まっています。
そのような中で、最近、全国各地で地産地消の重要性が見直され、町おこしや、身土不二(しんどふじ)」「スローフード運動」「ロハス」などの取り組みとも連動し、消費者と生産者の相互理解を深める取り組みとして期待されています。
- 町おこし
- 町の活性化を目的とした行動のこと。市町村、あるいは市町村内の一定の地区の経済や文化を活性化させること。まちづくり。
- 身土不二
- 食養運動のスローガン。「地元の旬の食品や伝統食が身体に良い。」という意味で、大正時代に「食養会」が創作した。
- 1990年代以前に身土不二を唱えた者は、地産地消に批判的だった。地産地消事業は、伝統食を改善しつつ、農家女性や高齢者の生き甲斐と所得を向上させる目的で1981年(昭 和56年)に始まった。指導にあたった生活改良普及員は、以前から特産物の栽培を勧め、栄養値の高い味噌の作り方を指導したり、伝統文化の保全に尽力して いたため、地産地消でも、伝統の良いところを残しつつ、塩分過剰やビタミンの不足などの欠点があれば改善する、というスタンスを取った。
- 一方、身土不二に従えば、伝統食は完璧だから手を加える必要がない。このため1980 - 90年代から身土不二を唱えていた論者は、「生活改良普及員が、伝統食を破壊して洋食を指導した結果、若者が早死にしている。」と非難した。この説は「逆さ仏」説などの名称で一部に浸透し、たとえば沖縄県はそのような傾向が顕著である。
- しかし、スローフード運動が高まった2000年代以降、新聞・雑誌のスローフード特集で、地産地消を「身土不二に基づく伝統」と紹介する例が急増し、両者の区別があいまいになっている。
- スローフード
- その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動、または、その食品自体を指すことば。日本の伝統的な和食や郷土料理への回帰とは限らない。また、「地産地消」と同義ではない。
- 島村菜津の著書『スローフードな人生』の出版後に日本でも一般に知られるようになった。2000年頃から浸透しはじめ、2004年10月には正式にスローフードジャパンが設立された。
- 日本におけるスローフード運動の取り組みのひとつには、各地方で伝統的に栽培され、食されてきた固有の品種や加工食品のうち、希少で消滅しようとしている「食」を守ろうとする運動として、「味の箱舟(アルカ)」がある。
- ロハス
- Lifestyles Of Health And Sustainability (健康と持続可能性の、またこれを重視するライフスタイル)の略。健康や環境問題に関心の高い人々のライフスタイルを営利活動に結びつけるために生み出されたマーケティング用語である。
- 1998年にアメリカ合衆国で造語され、日本では2004年頃からライフスタイルを表現する言葉として注目されたが、現在は定義が曖昧なバズワードの一つとして扱われている。定義の曖昧さを逆手に取りエコロジカルなイメージを商品やビジネスに関連付けるために用いられることも少なくない。
- 日本では、「健康と環境を志向するライフスタイル」と意訳され、スローライフやエコに続いて広まった。一般的には、健康や癒し・環境やエコに関連した商品やサービスを総称してロハスと呼び、ロハス的な事・物に興味を持つ人をロハスピープルと呼ぶ。
国内の農産物
ふつうは同じ都道府県内で生産された農産物に対し「地産地消」扱いとしている。
戦後、大都市の近郊農家以外は、食料管理制度(米の価格維持)と兼業(農業以外の収入)によって収入が安定していたが、食管制度の崩壊や減反政策に伴って米を収入の柱に出来なくなり、また、兼業先が土木業である者にとっては公共事業の削減によってもう1つの柱も不安定になってきているため、「地産地消」として農産物の販路を築くことができれば、営農放棄して都市に移住する傾向を緩和し、農村の過疎化をある程度くい止められるのではないかという意見がある。
流通
「地産地消」の浸透は、流通過程が短くなり、地域の監視の目もきつくなるため、産地詐称を困難にさせることが期待されている。
地域の農産物を手軽に手に入れる場所としては、農産物直売所がある。近年、主要道路沿いに道の駅が設置され、地域産品の総合的販売所として脚光を浴びるようになるとともに、その主要施設として農産物直売所の役割も見直されつつある。
また、遠距離輸送には大量の燃料・エネルギーを必要とする為、そのために輸送する際にかかるエネルギー・CO2排出量等のコストを計算するフードマイレージの観点から考えると、地産地消ならば、それらは不必要なエネルギー消費、排出削減が可能なCO2であると考えることができる。
遠距離輸送に関連して、ヴァーチャル・ウォーター(仮想水) の観点から考えた場合、他国から自国へ運ばれてくる農産物・木材には、それらが育つまでに多くの水(天然資源)を必要とする。それらを育てるのにかかった 水の量を計算して単位にして測った場合に、多くの農産物・木材を輸出している国は、大量の水を輸出しているとも考えることが出来る。その為、そのような農 産物・木材を生産して輸出している国から自国へとそれらを大量に輸入している場合には、その輸出国の水資源の枯渇化を加速させている状況を引き起こしてい る可能性があると想定することもできる。そのような輸出国における水の大量消費、水資源の枯渇化を地産地消ならば、防ぐことが可能であると考えられている。
遠距離輸送のコストを高め、「地産地消」を行う方が企業利益に適うような制度を構築するため、遠距離輸送を担う地方間を結ぶ高速道路は有料とし、地域内の都市を結ぶ高速道路、バイパスは無料化すべきとの意見がある。
水産物に関しては、水産業を基幹にしている地域でさえも、特定の魚種の輸入品が主に消費され、地魚が消費されないという問題がある。ただし、地魚のみで地域全体を賄うのは不可能であるため、地産地消がもっとも向いているとされる。
スローフード・アクティヴィスト
日本のスローフード活動家は、輸入農産物であっても伝統的農産物であればスローフードの範疇に入れている。この場合の「伝統的」の意味は、「原産地」ということではない。トマトの原産地は南米で あるが、イタリアの「地産地消トマト」は伝統的なのでスローフード扱いされ、場合によっては輸入して食べることにためらいを感じない。日本のスローフード 活動家の「地産地消」は、「質の高い農産物に対する追求」と同義と言ってよい。食に限らず生活全般に同様な質の思想を持つ者は「LOHAS」(ロハス)に移行する。スローフードやロハスは、富裕層向けのビジネスという批判がある。しかし、食材の高額化に寛容な層の拡大や海外の伝統食材に興味を示す層の拡大に対応して、農業地域を抱える自治体では、特に洋野菜の作付けを増やして特産物化し、農家の収入安定に繋げようとしている。
長所と短所
長所
- 旬の食べ物を随時新鮮なうちに食べられる
- 消費者と生産者の距離が近いゆえに鮮度がよいため、野菜の栄養価が高い
- 地域経済の活性化、地域への愛着につながる
- 地域の伝統的食文化の維持と継承
- 農水産物の輸送にかかるエネルギーを削減できる(フードマイレージ)
短所
- 地産地消が「地元産農産物だけを消費する」という概念であると誤解し、保護主義や小地域ブロック経済に繋がるというおそれを抱く者があらわれることがある。
- 地産品の生産投入エネルギーが、輸入品のそれにフードマイレージを加えたものを超える場合、二酸化炭素排出量が多くなる(日本産畜肉の生産投入エネルギーは輸入品の3〜5倍。ただし、日本産畜肉の生産投入エネルギーが大きくなるのは、飼料が輸入穀物だからそもそものフードマイレージが大きいため)。


